こんにちは。
2020年8月21日に公開された菅田将暉さん×小松菜奈さん主演の映画『糸』が話題になりましたね。
映画『糸』は中島みゆきさんの曲が題材となって描かれた作品です。
中島みゆきさんは知らなくても、”曲は知っている!”という方も、少なくないのではないでしょうか。
様々なヒットメロディーを送り出している中島みゆきさんの言わずと知れた名曲、『ファイト!』。
印象的なサビのメロディーと深い歌詞で、多くの人が心奪われました。
私ももちろんその一人です。
この記事では、そんな曲の誕生秘話や歌詞について、そして中島みゆきさんの経歴などをまとめてみました。
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中島みゆき『ファイト!』歌詞の意味はなに?
『ファイト!』は非常にメッセージ性の高い楽曲であり、もちろん人によって捉え方は多種多様。
この曲も広くは応援歌と言われていますが、そうでないと考える人もいます。
中島みゆき「ファイト!」を、単に頑張って働くみんなの応援歌、みたいに切り取られて使われてるの見るとちょっとモヤモヤするな…あの曲の大事なところはたぶんサビじゃなくてその前のぼそぼそと吠えるようなaメロだと思うのです
— よく眠りたまに色々考える主婦 甘木サカヱ (@toppinpararin) October 20, 2020
ここでは歌詞を解説していきますが、あくまでも数ある中の一つの解釈としてお楽しみください。
それでは、本題です。
この曲では、一人ではなく複数人の心情と情景が歌われています。
登場人物を順番に見ていきながら、歌詞の考察をしていきましょう〜!
若き、少年少女
まずは「若き、少年少女」
あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた
女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる
語り口調で始まるこの曲。
上2行が少女、その下が少年のことを描いています。
少女は、就職に苦戦していることを手紙で誰かに相談しているのでしょう。
中卒というだけで排除される悲しさや怒りで、文字を書く手に力が入り震えているのではないでしょうか。
少年の方は大人と思われる人物に暴言を吐かれ、暴力まで振るわれています。
何かしらの新たなチャレンジを阻まれ、諦めや絶望で「大人になってしまう」様子を「眼が年をとる」と表現しているのでしょう。
世間に蔓延る理不尽に悲しみや諦めを見せる少女と、立ち向かおうとした少年の憤りを感じますね。
ちなみにこの部分、ラジオに寄せられたリスナーの声を参考にしたと言われているようですが、ご本人は否定しているようです。
真相はわかりませんが、そのくらい共感できるリアリティのある歌詞ですよね。
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事件現場の目撃者
続いては、「事件現場の目撃者」。
私 本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で
ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
私 驚いてしまって 助けもせず叫びもしなかった
ただ恐くて逃げました 私の敵は 私です
電車の人身事故でしょうか。
女性が子供を階段からつきとばすという衝撃的な現場に居合わせ、驚きのあまり何もできなかった自分を悔いている様子。
犯人である女性ではなく、見ていたのに助けられなかった自分にスポットを当てて、「敵」と表現していますね。
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魚に例えられた挑戦者
こちらでは、人間が魚に例えられています。
暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから
いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
やせこけて そんなにやせこけて魚たちのぼってゆく
勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
出場通知を抱きしめて あいつは海になりました
この部分は、魚に例えられていることもあり解釈がかなり分かれる部分です。
最初にこの歌詞を読んだとき鮭の川登りを連想しますね!
川登は出産のために安全な川を目指すもの。
ですが、たどり着くといった歌詞ではなく。
「海になりました」
表現によって様々な解釈があると言えます。
歌詞から読み取る2パターンはこちら
①:結果として川に帰れずに力尽きて、海に逆戻りした
②:海のような大きな人間になったという成功を意味する
どちらにせよ、
「逆流に負けず果敢に戦いに挑む」
という状況であることは確実に読み取れます。
試練から逃げてしまうことは簡単で楽だけれども、傷ついて苦労したからこそ輝く。
大事なのは勝ち負けではなく、挑戦するその心意気なのだと背中を押してくれるような歌詞ですね。
問題の最後、「海になりました」。
戦いに挑んだのち海となった、すなわち死を連想するフレーズと受け取れるのが①パターン。
そして、海のような大きな人間になったという成功パターンの解釈が②パターン。
多くの方は成功パターンで解釈されてるのではないでしょうか。
というように2つの結末が考えられます。
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上京したい彼女
さあ、終盤です!
薄情もんが田舎の町に あと足で砂ばかけるって言われてさ
出てくならおまえの身内も住めんようにしちゃるって言われてさ
うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符
あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき
田舎町に住む彼女は、上京することを周囲に反対されています。
反対者によって、身内に危害が加わりかねない状況ですね。
完全に脅迫です。
結局押し切ることができず、東京行きは諦めたと思わせるために切符を燃やしたことにして、田舎の人間を納得させるのですが…。
実際には燃やすなんてことはできず、同志と思われる人に切符を託すというラスト。
「持っとって」と言っていることからリベンジの可能性も残しつつ、
夢への道を、泣く泣く手放す彼女のやるせない涙で切符の文字が滲みます。
ここで、『ファ〜イトッ!』のサビが来るのがなんだか心強いですよね。
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男社会に挑む女性
最後は、男尊女卑の社会を嘆く女性です。
あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ
ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく
この曲がリリースされた1983年当時は、今以上に女性軽視の風潮がありました。
圧倒的に不平等で理不尽なパワーバランスのなかで、打ちのめされる女性のどうしようもない嘆きが描かれています。
海の中の国境は、性別の壁でしょうか。
日本を飛び出して世界へということでしょうか。
それともどちらもでしょうか。
いずれにせよ、彼女は理不尽な世の中を諦めず、最後まで踠きながら戦おうとしています。
逞しく生きる全ての女性を奮起させる、そんな力強い歌詞だと感じました。
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中島みゆきの曲『ファイト!』が生まれたきっかけ
冒頭の歌詞解説の部分でも触れましたが、最初に出てくる中卒の女の子はラジオのお便りをモデルにしているという説がありました。
ラジオは、1982年5月3日放送「中島みゆきのオールナイトニッポン」の最後のお便り「中卒だから仕事を任せられない」。
以下、実際の内容です。
みゆきさん こんばんは
毎日たのしく聴いています。
わたしは中学をでて すぐに働いて2年になる17歳のおんなのこです。
この間、わたしの勤めている店で、
店の人がわたしのことを「あのこは中卒だから事務はまかせられない。」と言っていたの を聞いてしまいました。
わたしくやしかった。
くやしくて くやしくて泣きたかった。
中卒のどこが悪いと言いたかった。
わたしだって高校行きたかった。
だけど家のこと考えたら、私立に行くなんて言えなかったし、高校に入る自信もなかった 。
なのに こんなふうに言われるなんて ヒドイ。
ごめんなさい 愚痴を書いてしまって。
また お便りします。
ペンネーム「中卒だから仕事を任せられない」
確かに楽曲の歌詞とリンクする部分が多いです。
しかしこれについては、彼女自身がキッパリと否定をしていています。
「手紙を読むような歌詞の部分があるでしょ?それをね、オールナイトニッポンに来てた手紙をそのまま歌詞にしてんだろうって考える人が多かったですね。番組に来た手紙は番組のものだし、歌になんて一切使ってないのにね」
(中島みゆき/「月刊カドカワ」1991年11月号)
本人が否定している以上、誕生秘話として紹介することはできません。
しかしかなり内容が被っているので、このお便りがきっかけで楽曲が生まれたと思っている人は少なくないです。
ある種、都市伝説のようですね。
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中島みゆきの幼少期やデビューまでの経歴
今や日本を代表する歌姫である中島さんの、経歴について紹介します。
幼少期
出身は北海道札幌市。
高校3年生の時の文化祭が、彼女の初舞台です。
大学時代はフォークソングのメンバーと交流を持ち、活発に音楽活動を展開していました。
才能はすでに開花しており、様々なコン スポンサーリンク
「コン スポンサーリンク
大学卒業後は地元で家業を手伝うかたわら、アマチュア活動を続けていました。
デビュー前に地元では既に多くのファンを獲得しており、オリジナル曲は既に100曲以上存在していたのですが、それらの一部は現在でも音源化はされていない伝説の楽曲となっています。
デビュー
デビュー曲は、『アザミ嬢のララバイ』。
わずか5ヶ月後に『時代』でポピュラーソングコンテスト、その後の世界歌謡祭でもグランプリを獲得。
1974年4月にファースト・アルバム『私の声が聞こえますか』を発表し、その後現在まで、1年につきアルバム約1枚のペースで作品を発表し続けています。
歌手としてのブレイク曲は、「わかれうた」です。
中島みゆきさんの公式You Tubeの貴重なライブ映像はこちら↓
4・5年前の映像となるので、当時63〜65歳です。
歌声も佇まいも本当に美しいですよね!
2020年はラストツアーの予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で中止になっています。
コロナが落ち着いてから、もう一度ライブツアーを開催してくれるのを期待したい所ですね。
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まとめ
今回は中島みゆきさんの『ファイト』について、紹介しました。
いろんな人物の視点から描かれた当楽曲。それ故、あらゆる年代層やバックグラウンドの人が、どこかしらで共感できたり、勇気づけられたりするのではないでしょうか。
そういった意味で、今を生きる全ての人に捧ぐ応援ソングと言えるかもしれません。
数々の名曲を世に送り出してきた彼女に、今後も注目していきたいですね。
最後まで、ご覧いただきありがとうございます!!
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